-
はじめに
- 私たちはまちづくり活動の一環として、長野市松代町豊栄で神社を核とした中山間地域からの文化発信活動(活性化事業)を多くの仲間とともに行っています。これまでには、豊栄地区の総鎮守である皆神神社で創建1300年記念事業を実施しました。この中でオリジナル脚本による創作劇を製作し奉納しています。
-
- 画像:創作劇上演の様子
演劇の内容は、神社1300年の歴史から信仰及び人間にとって「祈り」とは何かを問いかけ、この地で生まれ育った人たちのアイデンティティを紐解く普遍的なものでした。 -
- 画像:創作劇上演の様子(クライマックス)
私たちはこれを一度の上演で終わらせることなく、老若男女が触れやすく分かりやすい「漫画」に作り直すことで伝統や文化を後世に繋げていきたいと考えました。また、近隣の小中学校にも教育の副教材として図書館に寄贈を予定しています。 -
プロジェクトの背景
-
信州松代皆神神社とは
- 長野県長野市松代町豊栄、皆神山山頂に位置します。熊野出速雄神社を本社とし、侍従神社、末社を併せて、皆神神社と通称されています。
-
- 画像:社紋
西暦718年(奈良時代養老2年)の創建と伝えられ、本殿は15世紀末期~16世紀初期の建立、県指定文化財に登録されています。撞木造と呼ばれる神仏習合時代の様式で、現存するものは珍しく、大変貴重とされています。 -
-
- 画像:侍従神社
熊野出速雄神社の主祭神は出速雄命、侍従神社の主祭神は侍従大神であり、出速雄命は農耕の神、侍従大神は子授けの神として信仰され続けています。
豊栄地域の総鎮守として地元住民に親しまれ、近年ではパワースポットとして人気を集め、遠方からの参拝客も多いです。 -
中山間地域のまちづくり活動として
- この地域は典型的な中山間問題を抱えて、少子高齢化や第1次産業の衰退が目立つ一方、近年では豊かな自然と旧城下町都市ならではの情緒を求めて、クリエイターを中心とする若・中年層の移住も増えてきています。明治時代まで修験道で栄えた歴史を持つ皆神神社は、多様な信仰を受け入れてきた背景と、大らかな運営形態によって、古くからの住民ばかりでなく、こうした人々の精神的な支柱にもなりつつあります。
-
- 画像:城下町〝松代〟の町並み
私たちはこのような神社独特の公共性と求心性をまちづくりに活かす第一歩として、皆神神社と協働のもと、これまでに奉納劇の製作・上演を主軸とする一連の文化事業を実施してきています。今回もそうした文化事業を進展した形での挑戦になります。 -
地域に埋もれたクリエイターの発掘と自立
- 地元演劇関係者と協働での奉納劇の実施、地元音楽関係者と協働での創建1300年記念イメージソングの製作、地元酒造店と協働してオリジナルラベルの地酒販売、その他、表具師や精神科医と協働して日本文化や神道の新しい価値を広めるワークショップの開催等を実施してきています。
-
- 画像:地元関係者と親睦を図りながら新たな企画を練っていきます
私たちは多くのお金をかけて良いものを作るということではなく、限られた予算の中で表には出ていないけれどもスキルの高いクリエイターと協働しながら事業を行ってきました。 -
- 画像:創建1300年記念イメージソング「いのり」製作の様子
-
- 画像:創作劇稽古風景
今回も自立をしてこれから羽ばたいていこうとしているクリエイターと協働をして、奉納した創作劇の漫画化をプロジェクトとして進めています。 -
本プロジェクトで作るもの
- 本プロジェクトでは、A5版・約50ページの漫画本を作製します。表紙はカラー刷り、本文はモノクロ刷りの予定です。
-
-
-
ストーリー
- 時は現代。信州松代にある皆神山、その麓で生まれ育った少女・桐子は、自分が皆神山の精霊の末裔であることを知らされる。精霊の役割とは代々、人々のために祈ることであったという。しかし祈りとは何か分からず、困惑する桐子。
そこに現れたのは、千年後の未来からやってきた皆神神社最後の神職・彗だった。祈りのない荒廃した世界を救おうとする彗もまた、答えを求めて時空をさまよっていた。
こうして偶然出逢った二人は、ともに1300年前を目指すことになる。皆神神社の始まりの神・出速雄命に会って、祈りの意味を問うために。 -
-
-
- ※画像は製作中のネームサンプルです
-
主なキャラクター
-
- ◯彗(スイ)
千年後の未来からやってきた、皆神神社最後の神職。真面目で責任感が強く、信仰を失って荒廃した未来社会を救おうとする青年。しかし本人に強い信仰心があるというわけではなく、祈りの意味も知らない。タイムマシンのトラブルが原因で桐子と出会い、一緒に過去を目指すことになる。 -
- ◯桐子(キリコ)
皆神山麓の豊栄地区で生まれ育った少女。中学三年生。やや控えめな性格で、神社の境内で考え事をすることを好むが、特に詳しいわけではない。じつは皆神山の精霊の末裔であると告げられ、困惑していたところ、彗と出会う。彗の真摯な思いに打たれ、一緒に過去を目指す決心をする。 -
- ◯侍従坊(ジジュウボウ)
実在した歴史上の修験者。佐久郡内山城主・内山美濃守満久の三男。13歳で鞍馬山に入り密教を厳修し、その後各霊山を巡り、内山氏滅亡のとき皆神山に入山、皆神山の修験を完成させた。神通力を持っていたと伝えられ、数々の言伝えを残している。1556年歿。1570年に侍従坊大天狗明王として祀られる。1846年には、侍従坊の社である侍従大神社が建立された。(2018年より国登録有形文化財) -
クリエイター紹介
-
- 作画を担当する只野只典です。これまで、月刊少年漫画の背景制作や漫画イベントの企画に携わってきました。今回、はじめてキャラクターの作画から全面的に漫画を手掛けます。
本作は、フィクションでありながらも、創建1300年の歴史を持つ実在する神社が舞台です。皆神神社は、物語の少女・桐子にとっては、平凡な日常のなかの憩いの場であり、隠れ家です。一方で、未来からきた青年・彗や、神として祀られる侍従天狗坊にとっての神社は、また別の意味を持ちます。 - この作品は、現実と空想、過去・現在・未来が混じり合いながら、「神は人を救うのか」と言う人間の信仰心の根源に迫る、SF<すこし・ふしぎ>な物語だと思います。登場人物と、時代時代による皆神神社をどの様に魅力的に描き、みなさんに届けることができるのか、日々構想中です。
神社という風土に新しい風を吹き込み、また私自身においても、新領域への一歩となるチャレンジングな作品を、現在鋭意制作中です。どうぞ、ご期待ください! -
資金の使い方
- 漫画製本印刷費、及び広告宣伝費用として使わせていただきます。また、近隣の小学校に出来上がった漫画を寄付したいと考えています。
-
終わりに
- 由緒ある皆神神社の歴史と良さを本を通じて多くの皆さんに知っていただきたいと思います。松代地域は真田家ゆかりの城下町です。歴史と文化を中心に地域活性化や観光への取り組みを住民も一丸となって進めてまいりました。
-
-
- 画像:熊野出速雄神社
そうした取り組みの中で、新たに皆神神社を皆さんに知ってもらうことにより、本事業が歴史を紡ぎ後世に繋げ、さらには地域社会発展のために中核を担う存在として、地域住民との協働のもと、一連の文化的取り組みの第一歩となればと心から思い精一杯活動しております。 -
- 画像:創作劇終演後に地元関係者及び演者・スタッフと記念撮影
共感していただけましたら、ぜひ一緒に皆神神社を盛り上げていければと思います。ご協力よろしくお願いいたします。