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はじめに
- 私たちは富山県高岡市で110年以上、
高岡銅器の仏具を制作している会社です。
近年は、久乗おりんの音色を仏具としてだけでなく、
日常生活の中でお役立ていただきたいとの想いで、
インテリアと調和するモダンなデザインのアイテムを展開しています。 -
- 新型コロナウイルスの感染がなかなか収束しない中、
疫病を近づけず健やかな日々が来ることを祈る気持ちを形にしたい。
古来より場を清め、邪気を遠ざけると言われているおりんの音色と、
古来より厄除け魔除けの意味合いがある麻とを
組み合わせることを考えました。
また、
日々軽やかに暮らしの空間で久乗おりんを鳴らすことにより、
内側に向きがちな昨今の気分を前向きにしてくれるものと思い、
このプロジェクトを立ち上げました。 -
普段の活動について
- 久乗おりんを展開している株式会社山口久乗は、
伝統工芸高岡銅器の街で明治40年に創業し、
銅器の仏具を中心に企画制作をしています。
仏様への音としてつくられてきたおりんですが、
祈りのための至上の音でありながら、どことなくあたたかく、
何かにまもられているような感覚を与えてくれます。
邪気をはらい、場を清めるといわれるおりんの響きは、
人の心を整えるように感じられます。
磨き上げられたおりんの音は常に純粋で、
同じ形をしていてもさまざまな音があり、
人それぞれの心に異なる音色を響かせます。
どこまでも限りなく遠く、深く、染み渡るように広がる ――
それが、久乗おりんの音が常に目指していることです。
この音をひとりでも多くのみなさまの心へ届けられますよう、
一音ずつ丁寧に作っています。 -
くらしの中で音色を楽しんでいただくためのデザイン
- 私たちは、おりんの音色を日々の暮らしの中で楽しんでいただけるよう、
インテリアとしてもそばに置きたくなるようなデザインのおりんたちを作っています。 -
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公共の場の音色として高い評価
- 北陸新幹線の新高岡駅をはじめ、
高岡市内の5つの駅の発車音
路面電車・万葉線の発着音
高岡市立の小中学校のチャイム
道の駅雨晴のりん鐘モニュメントetc.
公共の場の音色として採用されているなど、
その音色は高い評価を得ています。 -
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国内外で演奏される
- おりん演奏家によるコンサートや舞台芸術で使われ、
徐々にですが、おりんの音色の素晴らしさが知られつつあります。
和太鼓の「鼓童」と坂東玉三郎さんの「アマテラス」
かなり重要なシーンで使われます。
さだまさしさんのコンサートでも使われることがあります。
世界各国で上演された森山未來さんのダンスと映像の舞台「TeZuKA」でも
使われていました。
東大寺大仏殿や、
ミラノトリエンナーレ美術館でも、
久乗おりんの演奏会が行われました。 -
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1/fのゆらぎのある音色
- 自然界には感覚的に「心地よい音」が無数に存在しています。
波の音、小川のせせらぎ、滝の音、
風にそよぐ木の葉の音、小鳥のさえずり、虫の声など。
そして、これら人が心地よく感じる音の「ゆらぎ」にある共通点が
「1/fのゆらぎ」です。
長年の研究により「1/fのゆらぎ」を提唱している日本音響研究所に、
私たちは2005年に初めて弊社のおりんの分析を依頼しました。
結果、その音色は「1/fのゆらぎ」の定義に
適っているという報告書をいただきました。
以来、新作の度に分析を依頼しています。
そんなおりん作りのノウハウは、
弊社の他のおりんにも、しっかり活かされております。 -
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久乗おりんは工芸の町「高岡」でつくられています
- 富山県高岡市は鋳物産業を主とする、職人の町です。
この町の鋳物産業は、前田利長公が高岡に築城したことに始まります。 -
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- 高岡銅器は分業制。一つの品物が仕上がるのに、何人もの職人の手が加わります。
それぞれの職人が独立したプロフェッショナルです。 -
鋳込む
- およそ1200度で溶解した銅合金を砂型に流し込みます。
そして冷えて固まった銅合金(生地)を砂型から取り出します。 -
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削る
- 生地をろくろで回転させて、刃のついた道具を当てて切削します。
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磨く
- 生地を高速で回転する羽布(ばふ)にあてて磨きます。
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装飾する
- 銅器には着色したり、彫金したり、
様々な装飾を施します。
画像は久乗おりんのフレームに
高岡「漆器」の青貝螺鈿を施しているところです。
このように私たちは垣根を越えて違う伝統工芸と
コラボレーションする取り組みも行っています。 -
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組み立てる
- それぞれの職人が作りだした部品を一つの「久乗おりん」に組み立てます。
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- このプロジェクトによって、
高岡の職人たちの仕事が増え、
高岡銅器の発展につながると、
思っています。 -
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今回のプロジェクトについて
- 「麻の葉」の飾りをつけた「まわりん」「どありん遊」を制作します。
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- まず、「まわりん」「どありん遊」の説明をします。それから「麻の葉」という柄について説明をします。
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まわりん
- 起き上がりこぼしのフレームが揺れると涼やかな音がします。
揺れる姿と音色で気持ちがなごみます。
くるくる、ゆらゆら、
あたまのうえの飾りがかわいい動きをします。
無邪気に無心に、いつまでも遊んでいたいおりんです。
たとえば、
忙しい合間の休憩にお茶を味わいながら
この可憐なおりんの音を聴き、
ほっと気持ちをゆるめて心をほぐすなど、
日常の気持ちを整えたいような場面で
この音色が役に立つことでしょう。 -
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どありん遊
- 戸を開け閉めするたびに、
優しくさわやかな音が響き、
あたま飾りがひらひら、くるくるゆれながら、
かわいい音と遊びます。
気分が楽しくなるおりんです。
玄関では「いってらっしゃい」「お帰りなさい」
そして出かける家族の一日の無事を願う音色となります。
小さくてもよく通る音なので、
室内でも耳障りになることなくドアの開閉を知らせます。
部屋のドア、冷蔵庫や棚の扉などにも取り付けて、
動くと鳴るやさしい響きを日々お楽しみください。
たとえば、
部屋やトイレのドアに取り付けて、
高齢のご家族の動きを察することなどにも
お使いいただいております。
おりんの音色は邪気をはらい、空間を清めると言われています。
心が安らぐ清々しい音色としてだけではなく、
家内安全を願ってくれる音色でもあります。 -
- 以下は、いろんな「どありん」の動画になります。
「どありん遊」は1番初めに出てきます。 -
- 「どありん」は
くらしのそこかしこに、
使っていただけます。 -
麻の葉
- 鬼滅の刃の主人公たちの衣装の図柄でも、最近注目を集めている和柄。
その中で禰豆子(ねずこ)の着物の柄が
「麻の葉」という柄で、
魔除け厄除けの意味があり、
コロナ禍のこの時期に、
皆さんの心に響くモチーフではないかと思いました。
麻の葉の柄は正六角形と結びつけた幾何学模様。
もともと魔除けの意味がある三角形が集まってできた六角形は、
より強力な魔除けの力があると考えられていました。 -
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- さらに麻は、
日本の神道とは切り離せない関係にあり、
古くから神事に用いられてきました。
その薬理作用ゆえか、
古来、麻は神の宿る神聖な植物であるとして注連縄に用いられたり、
その繊維を用いて「あらたえ」と呼ばれる布を織り、
神々に献上されたりしていました。 -
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これらの作品への思い
- かねてより、空間を清め邪気をはらうとされるおりんの音色を
日々の暮らしの中でみなさまに活用していだたきたいという想いがありました。
感染症防止のため不自由な日々を過ごす中、
このように神聖な意味合いのある麻のモチーフと
おりんの音を組み合わせ、
コロナ禍に負けないよう応援するような製品を開発しようと思いました。
清らかな音色と健やかな幸せを祈る飾りで、
みなさまのおうち時間が
充実した豊かなものになりますようにと願っています。 -
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おわりに
- 高岡銅器のおりん「久乗おりん」は
長年にわたって培ってきた伝統工芸の
確かな技術と経験に支えられた
上質な音であることが認められ
「音」のブランドとして
令和2年「富山県推奨とやまブランド」に
認定されました。
科学的にも
いろいろな魅力をそなえる音色であることが
検証されています。 - 日本には
「間」とか「気」とか「余韻」と言った
目に見えないものを大切にする生活文化があります。
人々の心にそっと寄り添ってくれる
おりんの音の魅力、深遠さに
気づいていただければと思います。
久乗おりんの音が人々の心を平らかにし、
平和をもたらす響きとなりますように、
応援よろしくお願い致します。 -
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