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クラウドファンディングを実施するにあたって
- 皆様、初めまして。私は、愛知県名古屋市で知的障害者の生活に関わる支援を行う施設職員を務めさせて頂いております、社会福祉法人ゆめネットの池口信男と申します。
ゆめネットの中でも、【Art-motto】(あっと-もっと)名義で、障害者芸術の支援活動に力を入れて活動しております。
私たちの活動に少しでも興味をもってご覧いただき誠に有り難うございます。
この場をお借りして、今回クラウドファンディングを実施するに至った想いと、実現したいことについて少しお話します。 -
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障害があるからこそ、見渡せる世界
- 皆様は、エイブル・アートや、アールブリュット、アウトサイダーアートといった言葉を耳にしたことはありますでしょうか?
アール・ブリュット(Art Brut=加工されていない生(き)の芸術の意、1945年フランス提唱)
アウトサイダーアート(Outsider Art=独学、または趣味として素朴に制作された美術の意、1972年イギリス提唱)
エイブル・アート(Able Art=可能性の芸術の意、1995年日本提唱)
総じて何らかの障害を抱えた方が、一定の芸術に関する教えを乞うことなく独自の技法により生み出される障害者芸術の総称です。
こちらからも読み解ける通り、海外に比べ日本が、障害者アートを一つの文化として捉え始めたのはつい最近の話です。
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- 今でこそ全国様々なところで障害者芸術の魅力を広める活動や発表の場が設けられ、メディアにも取り上げられる事で障害児者が生み出すアートの価値が少しずつ認知されてきている実感はあります。しかしながら、そのような恩恵を受けているのはほんの一部の人たちに過ぎず、世の中には・・・、少なくとも私の身の回りだけでも、せっかく素晴らしいセンスを持ち、ひとたびスイッチが入れば素晴らしいアート作品を生み出せる才能があるにもかかわらず、発表の場が無かったり、制作活動に本腰を入れられるような資金や場所が無くて、くすぶっているアーティスト達がたくさんいます。
世の中の素晴らしいアート作品を埋もれさせてしまう原因の一つとして、アーティストである彼ら彼女たちの活動を支える立場である私たち支援者としての力量不足、すなわちディレクション力不足にあります。このような想いを同じくした支援員さん達を沢山見てきましたし、気持ちがあってもどう動いていいか解らないというのが正直な気持ちでした。 -
- 私たち支援者にはもう一つ、彼ら、彼女たちが安心して暮らせるための環境整備と所得獲得のための手段を見出す使命があります。悩んでいるだけでは、この使命はいつまでたっても果たせません。
この想いを同じくした同志と共にどうしたら使命を果たせるかを考える内に、まずはこの想いをより多くの方々に知ってもらい、その後の活動に繋がるご縁を獲得する事にたどり着きました。
その為にはクラウドファンディングが最適なのでは?という結論に達し、こちらのCreema様主催のクラウドファンディングの仕組みを活用する事にしました。 -
クラウドファンディングで実現したいこと
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①障害者アーティスト作品の額装費に使用させて頂きます
- 名古屋の老舗額縁店の『高山額縁店』様ご協力の元、額縁の製造工程でどうしても出てしまう端材を再利用して生まれ変わった額縁で額装した障害者アート作品をご用意しました。長年数々の名作を額装してきた高山オーナーの確かな目利きによる、作品と額縁のコラボレーションをお楽しみください。
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②令和3年3月開催予定の展覧会開催費用に充てさせて頂きます
- 高山額縁店様のご協力により、高山額縁店様2階の『ギャラリーKomore』をお借りして令和3年3月(予定)にアート展を開催します。
木漏れ日が差し込む開放的な空間のギャラリーで、コロナ禍だからこそのソーシャルディスタンスに配慮した展示方法で皆様の安全に配慮し、彼ら、彼女たちの作品を直にご覧頂く機会を作ります。
その迫力と世界観を存分に体感してください。 -
- 高山額縁店 多目的スペース『納屋橋Komore』
〒450-0003 愛知県名古屋市中村区名駅南一丁目1-17
※展覧会は3月開催予定ですが、コロナ禍により開催時期がずれ込むことがあります。
今回ご支援いただいた皆様には、こちらから開催の案内をお伝えさせて頂きます。 -
かけがえのない出会い
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- 障害者アート活動に携わるようになり、様々な作家と作品に関わってきました。
そんな中、素晴らしい作品はやはり素晴らしさに見合った額装がしたいという想いが募り、何件かめぼしい額縁店さんの中でも、ひと際惹かれる額縁店さんを見つけました。
額装して欲しい絵を見てもらうや否や、店員さんから感嘆の声が上がりました。
自分自身が描いた作品ではないのですが、やはり高評価を頂けると自分事のように嬉しくなります。
時間も忘れて、障害者アートというくくりではなく、本当に素晴らしいものは障害者というフィルターを通さなくても素晴らしいアートとして成立することなど、お店の方と共感しあいつつ、作品に合った額の色味や素材を見立ててもらい、約3週間後の仕上がりを楽しみにその額縁店を後にしました。
それが、初めての【高山額縁店】さんとの出会いです。
そして、仕上がったと連絡を受けて、はやる気持ちを抑えて受け取りに。
額装された作品を直視すると鳥肌が立ちました。
障害者アートがアートとして成立すると確信した瞬間でした。 -
- これを機に、2枚目、3枚目と【高山額縁店】さんにお願いする事にしました。
2枚目の額装時に、初めてオーナーの高山大資(たかやま だいすけ)さんにお会いできました。自分が障害者福祉に携わり、障害児者が描く、作り出すアートをもっと世にアピールしたい旨をお伝えすると、とても共感してくださり、話は大いに盛り上がりました。
聴き進めていくと、高山さんは福祉に対し熱い想いを抱いており、既に障害者の所得補償にと、額縁製造のお仕事を福祉施設に提供したり、障害児者のアート作品を最高のパフォーマンスで額装し、世に提唱したい!というその想いはどれをとっても、自分の理想とする想いと合致し、高山さんと何か一緒に事を成し得たい!と強く思うきっかけともなり、この瞬間に今回のクラウドファンディング構想の種が生まれたといっても過言ではありません。 -
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ヨナワールドさんとの出会い
- 今回のクラウドファンディングの実施に踏み切るにあたり、もう一つの大きな出会いがあったことを語らないわけにはいきません。
社会福祉法人さふらん会【ヨナワールド】さんとの出会いです。
名古屋の都心部に拠点を置き、『アートを通して生活を楽しむ』をモットーに、ゆめネットよりずっと前から障害者アート活動に本格的に精力的に取り組んでいる見習うべき所がとても多い先輩福祉事業所です。 -
- 以前からアートに関する活動内容や、生み出される作品たちに個人的に非常に魅力を感じており、障害者アートにかける様々な想いやアイディアを学ぶべく、胸を借りるつもりで、今回のクラウドファンディングを通じて我々ゆめネットの【Art-motto】が成し遂げたいと思う事をお伝えしました。
想いが通じ、快くリターン品に使用する作品の素材としての提供と、展覧会への参加にご賛同頂きました。
障害者のアート活動を支援するスタッフとして、自分自身が作ったものではない人様の作り上げたアートに対して価値をつける事に非常に悩んでいる事。所得補償として、アート作品を売れるものとして昇華させる事と、作品自体の個性が損なわれないようなジレンマに苦しむこと。
まだまだ駆け出しの我々からすると、一定の実績を積み上げてきた方々でも、いまだに我々と同じ悩みを抱えているのだと、同じ境遇の存在にホッとしつつも、益々この悩みを打破すべきと強く思うに至りました。
今回【ヨナワールド】さんからは、どれも魅力的な作品が並ぶ中からも、より厳選された作品をお借りしてリターン商品の素材と、展覧会の展示作品として皆様にご披露します。
【ヨナワールド】と【Art-motto】の作家たちの競演も見どころです。 -
今回のクラウドファンディングで果たせる7つのGOAL
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① 良いものは良いと認め合える環境づくりの実現
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- 当たり前のようにはたらき、当たり前のようにくらしたい・・・
私たち健常者にとっては何気ない願いでも、障害がある事で大きな壁をいくつも超える必要が出てきます。所得の確保もその一つです。
【アート活動=対価を得るための仕事】とは一概に言い切れませんが、彼らの生み出したものに感銘を受けた時、お金を出してでも手元に置いておきたいと思う気持ちが生まれるのは受け手側である私たちの権利です。
良い作品をより良い形で皆様に目にして頂き、作品に真の価値を見出していただく事で、少しでも作家たちの所得確保につながる事を目指します。そして、作家たちが生きがいをもって創作活動に取り組める環境づくりを目指します。 -
② 人にやさしく、地球にやさしいアート活動の実現
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- 今回のクラウドファンディングのメインテーマでもある、【持続可能なアート活動】の実現を果たすための根幹を成すものでもあります。
価値のないようなモノでも、考え方一つで拾い上げ手にする瞬間に価値は生まれます。アーティストの中にはあえて廃材を利用して作品を生み出す方もいます。そして生まれた作品を目の当たりにし、私たちの心は揺さぶられ、その後の人生に大なり小なり力を与えてくれます。
今回、彼ら彼女たちの作品を“より良い作品に昇華”するために起用される額縁は全て、受注した額縁制作の工程で出た端材を有効活用したものです。とは言え余り物で適当にあしらうという事ではなく、これまでいくつもの名作を額装してきた歴史ある額縁店のオーナーの審美眼による、これまでに生まれた無数の額縁の端材と作品のマッチングで、正に老舗の額縁店の名に懸けた作品の良さを最大限に引き出す仕上がりとなっております。 -
③ 心豊かになれるまちづくりの実現
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- クラウドファンディングを通じて、少しでも皆様に障害者アートの魅力を感じてもらう事でご縁が生まれ、そこから派生的に障害者アーティストそれぞれの更なる活躍の場に結びついたり、新たなコミュニティが生まれ地域の活性化につながったりと、予期せぬ可能性が生まれる事を願っています。しかしながら、それも他力本願では実現するものも実現しません。
その仕掛けづくりの一つとして、クラウドファンディング実施期間終了後に、高山額縁店様の全面協力の元、本気の額装を施した“本気の展覧会”を実施します。その後も、地域の施設や店舗にアート作品を展示して頂く事で、“まちごと美術館”をイメージした、生活に溶け込み知らず知らずのうちに私たちに刺激と力を与えてくれるアートシーンを提案します。 -
クラウドファンディングのその先に・・・
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サスティナブル(持続可能)なアート活動の実現に向けて
- 私たちにとって、今回のクラウドファンディングの結果がゴールではありません。
ここからがスタートと考えます。
私たちはこれからも、多くの皆様に、障害をもつ者の存在とアートの関係性、そして社会がどうかかわる事が、全ての人の人生に彩を持たせ、happyにその人生の幕を引けるかを、様々なアプローチで世の中に問い続けます。
今回、このファンドを通じて共感して頂き、さらなる可能性を見出された方は是非お声掛け下さい。一緒にアートで世の中を面白くする方法を考え実現しましょう!
“アッと驚くような魅力的なアートで、もっと面白い世の中にしたい!”
それが私たち社会福祉法人ゆめネット【Art-motto】の願いであり、果たすべき使命として持ち続けます。
どうか皆様、応援よろしくお願いします。 -
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【お礼】目標達成のお礼と、次なる目標に向けて!
- こんにちは、社会福祉法人ゆめネットです。
初めての試みで、賛同してくれる人がいなかったらどうしよう…と、ドキドキの想いでスタートを切った今回の企画。
おかげさまで、11月25日本日、目標100%達成しました!
この場を借りて、皆様に厚く御礼申し上げます。
様々な方面から賛同者から熱いメッセージをいただき、これだけ多くの方に賛同を得られた喜びと同時に、アクションを起こすことで小さな波紋が大きく広がる影響力と一石投じたその責任をひしひしと感じます。
世の中の多彩な才能を持つ障害児者の皆様が、心豊かな生活を送れるような仕組みづくりをこれからも試行錯誤し形にしていきますので、これからも応援よろしくお願いします。
残りの期間で、
〇3月以降開催予定の展覧会へ出品する額装代
〇展覧会のDM費用
〇新たな作品を生み出す為の画材費
となる『40万円』をNEXT GOALとして引き続き頑張ります!
どうかご支援よろしくお願いします。 -
今回のクラウドファンディング挑戦について語ります!
- 皆様こんにちは!
大勢の方々からご賛同いただき最初の目標金額を達成し、ネクストゴールを設けた後も、まだまだ多くの方々にご支援いただけております。本当に感無量です。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
ゆめネット×ヨナワールドのクラウドファンディング挑戦企画もいよいよ残すところ20日を切りました。私たちとしても、より多くの皆様にご支持頂きたい気持ちと、この企画の全容をもう少し深掘りして皆様にお伝えしたい想いがありますので、今回メインで関わっているスタッフ2名の対談形式というスタイルでお届けします。
何分、こういうことに慣れていない二人なので、取り留めのない会話かもしれませんが、少しでも障害者アートにかける想いが伝われば幸いです。
クラウドファンディング・・・、聴いたことはあるけど、どうやって実施するの?
今回の企画はそんな状態から始まりました。 -
僕ら×クラウドファンディング
- (令和2年12月1日 cafeコルポにて)
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- 池口信男(以下 池口):
お疲れ様です!
こんなご時世なので、マスクをしながらでの対談失礼します。
皆様のご支援のおかげで目標が達成できてひとまずは一安心ですね。
これから少しずつ、全国の皆様のお手元に無事届けられるよう準備をしていきましょうね。
さて、今回のクラウドファンディングについて、もう少し皆様に気楽に聞いていただけるよう対談形式をとらせて頂きました。しばらくの間お付き合いください。
早速ですが、もともとは翔太さんの「福祉収入に頼ることなく、障害者福祉にかかわる活動資金を調達したい!」という熱い想いからこのクラウドファンディングの企画が始まったわけですけど、想いをより具体的に示して実際ここまで多くの方から反響があって支持を受けた事、どのように受け止めます? -
- 林翔太(以下 林):
お疲れ様です!いや、感無量というか、本当に多くの方にご支援いただいた事は嬉しく思いますし、我々の想いは間違ってはいなかったという自信から確信に変わりました。同時にこれで終わりではなく、この先に繋げていかねば・・・、という責任感も生まれてきました。
池口:
今回のクラウドファンディング目標達成の要因は、僕は翔太さんがSNSを通じてのPR活動や、プレスリリースを駆使したメディアへの露出など、本当に多く勉強して知識として持ち合わせるだけでなく、臆することなく実践した賜物だと思っています。
又、様々協力いただいている関係機関にもこまめに近況報告やお礼を欠かさず行う事で、そこからまた信頼関係が生まれ、支持者(ファン)が生まれた結果だと思っています。
林:
有難うございます!そうですね、とにかく我々の想いをどう示したら共感してくれるか。やみくもに宣伝するのではなく、どこにアプローチしたらより共感を得られやすいのか。アドバイザーの方とも相談したり、ヒントを頂き必死でアプローチしました。失敗もありますが、今回の企画を通じて、クラウドファンディングだけではなく、これからの福祉事業を継続していく上での想いや姿勢に通じるものがあり、たくさん学ばせて頂きました。
ちなみに池口さんは、どんな想いでこのプロジェクトにかかわってこられましたか? -
- 池口:
振っていただき有難うございます。
ちょっとここから長くなりますよ(笑)
自分自身、モノ作りが好きで大学で陶芸を専攻していたこともあり、自身の知識やスキルを障害者福祉(障害者の所得補償、工賃向上)に役立てたい一心で福祉施設に入職したわけですが、どう活かしていいのかわからない・・・。そこで障害者アートに関する知識を得ようと、当時、障害者アート活動を先駆的におこなっていた、長野県にある【風の工房】様に1週間ほど住み込みで研修させてもらいました。
その時の体験が非常に大きいです。
林:
具体的にはどんな体験でしたか?
池口:
いきなり任されたのが、そのあたりにある材料で、(障害者の方の)作品の額縁を作ってくれ…というものでした。風の工房さんは定期的に展覧会をおこなっており、海外でも発表するなどそのころから精力的に活動していました。近々行う作品展に展示する作品の額縁を作ってくれというわけですが、そこにある段ボールと木材で自分なりの額縁を作ってみました。今思えば、あまりにも額縁の主張が強すぎるものを作ってしまったと反省していますが、当時は、何とか自分もできるんだぞ!…という誇示の気持ちが強かったと思います。
・・・で、作りながら風の工房のスタッフさんや代表の方がお話してくれました。
(障害がある)彼ら、彼女たちはすごく面白いものを作る、いいものを作る。
ただ、それを世の中にアピールする力が少し足りない。
だから、我々が力となって、ディレクションしていくんだ。彼らの作品を、良くも悪くも見せるのは我々スタッフ次第なんだ・・・。
結構この言葉は、今も大きく自分の中を占めています。
支援者側が躍起になりすぎて、当のアーティスト達の持ち味を殺してはいけません。かといって、適当にこんなもんでいいか・・・なんて妥協の気持ちも許されるはずはなく、観るもの、評価者にはちゃんと伝わります。
障害があるアーティスト達の伴走者となって、アーティストとなる皆様一人一人が人生において輝けるよう、また受け手となる社会がプラスと感じられるよう、生まれてきたアート作品たちを介して、彼ら、彼女たちの活動や生き方そのものをどう還元していくかを常に模索して一つ一つ形にしていきたい。そこに自分の力を注ぎたいと強く思うようになりました。
林:
長年の想いが募って、今回のクラウドファンディングに繋がるんですね。
そういった意味では、今回のクラウドファンディングのもう一人の立役者でもある高山額縁店オーナーの高山さんとの出会いも大きいですね。
池口:
そうなんです!今回リワード(返礼品)の目玉にもなっている、大野さんのスケールの大きい作品の額装をお願いしたのがそもそもの出会いのきっかけですが、大野さんの絵をご覧になるなり、感動の言葉をかけてくださり、お話していくうちに、高山さんの行いたい事が我々の想いと合致する事に気づいて、今回お声掛けしました。
林:
何度か打合せしましたが、いつも本当にお願いを快諾してくれて、障害者アートの真価をもっと世に広めたいという熱い想いがひしひしと伝わってきますね。
池口:
本当に高山さんの存在は心強いし勇気づけられます。
話は戻りますが、今回のクラウドファンディングにかける想いは、正に20年越しの想いと言っても過言ではなく、ずっとやりたいと思っていたことにこれだけ多くの人が共感し、賛同いただけた事に勇気と、自分のこれからの進む道、やりたい事がより明確になりました。
(次回に続きます) -
今回のクラウドファンディングについて!PartⅡ
- (令和2年12月10日更新)
前回は、我々ゆめネットがクラウドファンディングに挑戦したきっかけや
クラウドファンディングにかける想いをお伝えしました。
今回は、作品一つ一つに着目したお話を中心にお届けします。 -
彼らの作品から読み解ける魅力
- 池口:
自分自身これまでの経歴から、ゆめネットにおけるアート活動は自分自身が力を入れて進めて
牽引していきたいという想いがあるわけですが、(林)翔太さんは何がきっかけで障害者アートに魅力を感じ、ここまで熱く今回のプロジェクトを進めてこられるのか・・・。本当にそのあたりの翔太さんを突き動かす原動力が知りたい(笑)
林:
有難うございます(笑)
自分自身、ゆめネットに入るまで障害者アートに触れてきたわけではないですが、福祉の仕事についてやはり実際に担当するゆめネットの利用者さんだったり、身近にいる方々の作品や制作風景を目の当たりにすると力をもらえると感じられるようになったからですかね。
特に、何気ない日常の過ごし方と、一度鉛筆や粘土を手にした時の集中力の違いたるや、アートがもたらす力をひしひしと感じます。
池口:
確かに!
普段はおちゃらけたり、こちらに話しかけてばっかいるのに、片や作品作りの時になると、こっちが話しかけると「静かにして!」って怒られたり(笑)
林:
そうですね(笑)
僕自身、特に好きな作品が、今回リワードにもなっている【あなたらしく わたしらしく】という作品です。
池口:
富田さんの作品ね。現在は原因不明の四肢麻痺により、アート活動を一時休止している状態ですが、本人さんも再び筆が握れるように、もう一度大好きなBOOK-OFFや外食を楽しみたい一心でリハビリを頑張ってますよ。
林:
はい、本当にいち早い回復を心より願います。
私自身、書画に興味があり武田双雲先生の大ファンでもあるんですが、富田さんの、この作品には特段惹かれますね。
ゆめネットのモットー『あなたらしく わたしらしく』を書き上げたものですが、自由奔放な筆運び、一文字一文字が、自分に「自分らしく生きていいんだよ」と訴えかけてくるようで、勇気づけられる思いです。
賢さん自身の性格も知っていますので、尚の事重ね合わせると思い入れが強くなります。
大勢のフォロワー数を持つ書道家さんがこの作品に共感頂き、ストーリーズで拡散して頂いた時も嬉しかったですね! -
- 池口:
そうだね。自分たちの手から離れて、作品がどんどん全国の人達の目に触れ、大勢の人に影響を与える事になっていく嬉しさとSNSの影響力を感じましたわ。
林:
このことを、早く富田さんに伝えたいです。この文字でたくさんの人たちが勇気づけられてますよって。
池口:
また、今回はゆめネットの作家さんだけではなく、ヨナワールドさんにも参加頂けた事が何よりうれしいですね。
その中でも、やはり僕のお気に入りは、このぷっくりしたつぶらなお目目の小鳥たちの絵です。 -
- 林:
本当にいいですよね。自分はこの小さい額縁に入ったタイプが好きです。
どんなシーンにも合うし、壁にかけなくてデスクの傍らに置けちゃうのがいい。
池口:
これらの作品を生み出した作家、毛利さんは、実は数年前に自分の似顔絵を描いてもらいまして、それは今でも宝です。毛利さんの描く猫もまた、やんちゃながらもどこか憎めない表情した魅力的な猫なんです(笑) -
- 林:
僕もこのハシビロコウの絵が好きです。目力がすごい!
なんでも見透かされているような・・・
過去にアート展のポスターに採用されたくらい皆さんの評価も高く、実際のポスターになったハシビロコウを見た時に、「これは!」って思いましたもんね。ぜひもっと全国の皆さんに観てもらいたいって。 -
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・・・作品の魅力、まだまだ尽きません・・・。
(次回へ続きます) -
今回のクラウドファンディングについて!PartⅢ(最終回)
- (令和2年12月15日更新)
私たちのクラウドファンディングの企画も残すところあと一週間です。
あっという間の45日間。
あと少しで、NEXT GOAL達成です!
最終回では、一押しの作品と、私たちの今後の展開について語っております。
もう少しだけ皆様お付き合いください。 -
‟あなたらしく わたしらしく”の集大成
- (前回の続き)
林 翔太(以下 林):
それから自分のお気に入りは何といっても、中西さん作のこの【蒼い猫】ですね。
傲慢な趣ながらもつぶらな瞳はどこかもの悲しい・・・。ふてぶてしく見えてても実はとても繊細な心の猫かもしれないし。見る人の見るときの心持で、この猫は表情を変えるような・・・。
そんな魅力を感じます。
池口 信男(以下 池口):
すごい深いところまで観てますね~。のりさん(中西さん)自身は、めちゃめちゃ陽気なんですよね。根っからのお祭り男で、今年はコロナ禍で残念でしたけど、盆踊りでは、間違いなく率先してやぐらに上がって踊りまくるくらい(笑)
林:
そうですよね(笑)あんな陽気な方が、このような少し物悲しい風合いの作品を描くなんていうギャップがすごいです。作家さんの人柄を知ったうえで絵を観ると、更に面白いですよね。
池口:
共感です。のりさんの作品でもう一つ自分もお気に入りの作品があるんです。
甥っ子のるいくんがおもちゃで遊んでいるところを描いた【たのしいルイくん】っていう作品です。
‟たのしい”とうたっておきながらも、目から涙が一筋と、傍らには剣のような風車のようなモノがあり、しかも2つの目がこちらをにらんでいるような、ちょっと怖さも感じる作品。にもかかわらず‟たのしい”とタイトルをつけるところがやはりセンスであり、こちらの既成概念に縛られた感覚をあざ笑われているような・・・、そんな感覚に陥ります。
どことなく‟エゴンシーレ”に通ずる、陰鬱でありながらも奇妙な美しさ、死生観を感じるんです。
『生きるも死ぬも、悲しいもひっくるめて人生は‟たのしい”』と、そう語りかけているような気がしてならないんです。 -
- 林:
なんかすごいですね!
アートは人によって様々な見方ができるし、答えがあるわけではないですからね。
今回のクラウドファンディングのご縁でゆめネットやヨナさんの作家さんたちの作品を手にした皆様が、作品に対してどんな想いを寄せるのか楽しみです。
池口:
同感です。
そろそろ時間です(笑)最後に紹介したいのは、なんといっても大野さんの作品ですね。
林:
こちらですね。この【虹色水晶の森】は、名古屋市長賞を授与した作品で、製作期間は約1ヶ月。
下書き無しの一発本番で描き上げるというから驚きですね!
池口:
すごいですよね!自分も初めて大野さんの作品に出合った時は度肝抜かれました。
もう自分は絶対に勝てないと・・・なんで張り合っているのかわかりませんが(笑)
とにかく自分の中の、まだ微かに残るアーティストとしての血が、大野さんに対して嫉妬するんですよ。
悔しい・・・、自分はここまでの魅力あふれるものは生み出せないと・・・。
でも、この魅力を生み出す力は認めざるを得ないし、皆にこの素晴らしさを伝えないのは逆に罪だとさえ思うくらい超越してます。 -
- 林:大野さんの作品を語る熱量が半端ない(笑)
海の中をモチーフにした‟海魔城前”も大野さんの作品の中では人気が高いですね。
優雅に泳ぐ二対のリュウグウノツカイ。その後ろで不気味にこちらの様子をうかがう大だこ。
海魔城というだけに、奥に潜む強大な悪魔の存在をうかがわせる禍々しい神殿と、何も知らず泳ぎ戯れる魚たちを同時に描く事で、より海が生命をつかさどる源であると感じさせるような、そんなことを感じながら観ています。
池口:
そこまで読み解くとは、翔太さんもかなりの大野さんファンですね(笑)
大野さんは、これまで沢山作品として描かれてますが、作品が一つのストーリーとして繋がっているというのもまた魅力の一つです。ある作品では、小さく描かれている絵の中の絵画が、とある作品の後日談を描かれたものであったり、小さく描かれた人物が、実は別の作品の主人公であったり。そういうのを本人から聞くのもまた楽しいんですよ。又その時の大野さんはとても活き活きしてる(笑) -
- 林:
またこれらの作品を表現するためには、日頃のお出かけで目にしたものをしっかり観察して、家に帰っていろんな画材を使ってどうしたら本物の色合いや肌合いに近づけるか、努力を惜しまず試しているとか。
池口:
そうなんです。その妥協を探究心は見習うべきですね。根気とこだわりは真似しようと思っても真似できない。そしてそれが大野さん自身の‟あなたらしく わたしらしく”生きている証なんですよね。
大野さんに限らずですが、‟自分らしさ”が、全面的に具現化して現れるのがアート作品。
アートを通じて他人の個性の塊、内面を垣間見る事が出来るから、人はアートに魅力を感じるんでしょうね。特に、自分が持ち合わせていない感覚を見出せば見出すほど、人は羨んだり欲したり、称賛したり、様々な感情を総動員して、何とかこの作品を自分の中に落とし込もうとする心の動きこそが感動であり、その感動が大きくなってきますから。
林:
‟あなたらしく わたしらしく”生きる・・・。正にゆめネットが掲げるモットーでありますが、中々言うは易し、行うは難しですよね。でも、今回こうしてご紹介した作品が、少しでも皆様の‟あなたらしく わたしらしく”生きていける為の力になれれば幸いです。 - 池口:
正にその通り。
また、creemaさんを通じてのクラウドファンディングの挑戦は12月21日までとなっておりますが、これで終わりではないんですよね。
林:
そうですね。むしろこれからといった感じです。
皆様から頂いたご支援を基に、次なる目標【あっと驚く作品を、もっと多くの人たちに観てもらいたい!】を達成するために、展覧会を行うので、その準備を今から取り掛からないといけませんね。今回紹介しきれなかった、魅力ある作品がまだまだあります。
池口:次は展覧会会場で、今回ご支援いただいた皆様とお会いしたいですね。
林・池口:
では、本日はありがとうございました。こちらをご覧になられた皆様もお付き合いいただき誠に有難うございました!クラウドファンディング企画自体はあと少しですが、ゆめネット並びにヨナワールドはじめ、全国の障害者アーティスト達の活躍を、今後も引き続き応援よろしくお願いします!ご清聴ありがとうございました! -
あっと驚く作品を、もっと多くの人に観てもらいたい!
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- 高山額縁店様協力のもと、来年春に展覧会を開催予定です。
最高の環境で最高の状態の最高の作品たちを観て頂きたいので、ご支援いただいた皆様のみならず、こちらをご覧いただいて少しでも興味がある方には、是非足を運んでいただければ幸いです。どんなプレゼンをしたら、この作品の魅力を最大限に発揮できるかを念頭に展覧会準備を行います。楽しみにお待ちください。
コロナ禍であり中々足を運べない遠方のご支援者様向けに、展覧会をご覧いただける工夫をしますので是非ご覧いただければと思います。
それまで、楽しみにお待ちください。失礼します。
社会福祉法人ゆめネット
林翔太・池口信男 -
【お礼】“NEXT GOAL達成”に感謝を添えてご報告
- 皆様、日頃より多大なるご支援いただき、誠に有難うございます。
本日12月17日に皆様のお力添えのおかげで、NEXT GOALの金額40万円を無事達成する事が出来ました!
この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。
サイト掲載終了の12月21日まで、引き続き応援よろしくお願いします。
大勢の方から熱いメッセージと共にご支援いただき、何もかもが初めてで、手探り状態で始めた私たちの想いを載せたプロジェクトが着々と実を結ぼうとしております。
Creema様のクラウドファンディングを通じて、全国津々浦々、私たちの想いに共感頂ける方々がこんなに沢山いて、また支えてくれているのだという事を目に見えて実感し、喜びと同時に皆様の想いも託された立場として身が引き締まる想いです。
又、全国の障害児者の皆様及びご家族、並びに障害者施設でアート活動に取り組まれている支援員の皆様にも、意義ある活動方法の一つとしてお示しできたのではと思います。
ゆめネット自体、障害者アートへの取り組みはまだまだ駆け出しでもあり、全国で力を入れて活動されている事業所様には遠く及びませんが、この活動を通じて得たご縁を大切に、ゆめネットのアート活動をより活発に続けていきたいと思います。
そして、これから次なる目標の、“最高の額縁で、最高の作品による、最高の展覧会”開催に向けて準備に取り掛かりますので、どうぞ皆さま、ご期待ください!
まずもってお礼まで。
皆様引き続き応援の程、よろしくお願い申し上げます。
社会福祉法人ゆめネット
林 翔太・池口 信男 -
アートが僕の原動力
- 約20年前、私は美術系大学を卒業して初めての就職先としてとある陶芸教室のスタッフとして就職しました。
そんなある日、一人の生徒さんとして小学生の男の子が入会してくれました。不愛想ながらも毎週欠かさず通ってきてくれたのを今でも覚えています。
陶芸教室は基本的には入会したての方は、陶芸の基本技術を身に付けてもらうために、基礎プログラムをこなしてもらうのですが、その子は自由気ままに土と戯れ、好きな作品を作っては帰っていきました。
後日その子が障害を持っており、自閉症である事を知りました。その頃の自分は障害者・・・ましてや自閉症についても全くと言っていいほど知識が無く、その子とは特に意識することなく一人の生徒さんとして接していました。
それが良かったのか、本人さんも打ち解けてくれて、友達のように接してくれるようになりました。そして、ご家族からも、陶芸が日頃の精神面でも良い効果をもたらしてくれていると感謝され、そこで初めて自分が学んできた事と福祉活動が結びついた瞬間でした。 -
- 自分が今まで学んできた事を障害者福祉に活かしたいと思った私は、陶芸教室を退職し、障害者施設に就職しました。
陶芸教室を退職する前に、その男の子がペンスタンドをプレゼントしてくれました。
今でも自分のデスクの傍らで、[この時の熱い気持ちを忘れるなよ!」と叱咤激励してくれています。
思えば、これがアートの持つ力を肌に感じた初めての瞬間だったかもしれません。
この出会いが、今の自分の原動力です。
ゆめネット 池口